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2024.1.26

【ソロ旅レポート➃】日本の「香り」を知る旅・京都で「お香」に入門してみた

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旅した人:40代 マーケティング部 男性 Oさん
旅先:京都府 宇治市

なんとなく「いい香りがするとリラックスするな」「香りのある空間っていいな」とぼんやりとは思っていました。
香りといえば「お香」なので、それっていったい何だろう?というのが旅のきっかけです。  

まず訪れたのが、京都市の南・宇治市にある神社で「印香」を作ることができる体験教室。
印香とは、いわゆる細長い線香とは違い、粉にした香の材料を練って型にはめ、落雁のようにしたものです。この教室ではいかにも茶どころの宇治らしく、香木の粉に抹茶の粉を混ぜて固めます。

この作業が実は力仕事で、材料の粉末に少量の水を加えて練り上げる作業、そして型に押し付ける作業はなかなかの握力・腕力を必要とします。優雅に見える香づくりですが、教室が終わったころにはカバンを持つ握力が若干怪しくなっていました。
印香はそれ自体を直接燃やすのではなく、ろうそくの炎の上に耐熱材を設置し、その耐熱材の上に印香を乗せることで熱を与えて香りが拡散する仕組みとなっています。
今回作った香もお茶の香ばしさと上品な香のかおりが同時にただよってきて、手先の苦労も報われたように思います。

印香の香り立ちに適した教室オリジナルの香炉
印香を押し付けて成型する木型(教室HPより)

続いて訪問したのが「香会」への入門参加。
正式な会の規模等はわからないのですが、茶道や華道と並ぶ芸道の「香道」のお師匠を囲んで、私を含む4人が参加いたしました。
この香会にはゲーム的な要素があり、まず最初に香木を焚いたものを嗅ぎます。いえ、香道では「嗅ぐ」という直接的な言葉ではなく、香を「聞く」といいます。その次に3種類の香を聞き、では最初の香木は3つのうちどれでしょう?というのを推理して楽しみます。
それだけのあてっこゲームならば、「2番目かな?」「3番目だと思う!」と言って終わってしまうのですが、そこは雅やかな京都のこと。ひとひねりした趣向が加わっています。
その答え方とは?
最初の正解の香木の次に聞く3種類の香に「枯野」や「薄」といった、これまた雅やかな名前がついています。そして正解を答えるときは、その雅な単語をそのまま答えてもいいのですが、その語を織り込んだ和歌を詠んでいただくともっと楽しいですよ~というものです。まさかいい匂いを嗅ぎに来て、和歌を詠むとは思ってもみませんでした。

さて、宇治の教室で用いた抹茶の粉は、もちろん地元宇治の茶を盛り上げようという地域活性の意図もありますが、そもそも飲用の粉ではなく、換気扇などにたまった茶葉の粉末を再利用できないか?という発想で開発されたそうです。今風にいえばSDGsということになるでしょう。
また、「香会」では思わぬところで「歌道」とつながっていましたし、教室に飾られていた花は「華道」に通じ、香会の最後にふるまわれた茶菓はまさしく「茶道」でした。

2つの体験を通じて、私は香のことを多少なりとも知ることができればいいと思っていました。
それもある程度達成はできたのですが、もっと印象的だったのが、香という一つの分野がSDGsや地域活性といった社会問題であったり、歌道や茶道といった他の文化芸術世界にも通じている、すなわちそれだけの奥行きを持っているということでした。このあたりが、口の悪い人が言うところの京都の「めんどくささ」であり、正しくは「奥深さ」というべきものでしょう。私もその奥深さの入り口に立って、「これは一生かかって付き合えることのメニュー表をもらったな」とワクワクする思いです。
こうやって、ひとは京都に「はまって」いくのでしょうね。    

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